だるさに効く漢方薬は?倦怠感・疲れやすさ・眠気におすすめの漢方も

だるさに良い漢方薬は数多くあり、だるさの種類によって使い分けるのが大事です。漢方には気血水(き・けつ・すい)という概念があり、それらの過不足によって生まれるだるさもあります。漢方薬は通販・漢方薬局・漢方内科で手に入りますが、甘草を含む漢方薬の併用には注意が必要です。

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症状別に探す「だるさに効く漢方薬」

だるさにもいろいろな種類があるため、だるさの種類ごとに漢方薬を使い分けましょう。体全体のだるさ・足のだるさ・眠気・風邪によるだるさ、それぞれで合う漢方薬は異なります。だるさの症状別に、合う漢方薬を紹介しましょう。

 

体のだるさ・倦怠感

体力(気)を補う漢方薬を使います。胃腸の消化吸収力を上げて体に栄養をつける漢方薬が多いです。

・補中益気湯*(ほちゅうえっきとう)

だるさ・疲れ・食欲不振に使われる代表的な漢方薬です。消化吸収力を高め、体に栄養を与えることで体力をつけます。また、上半身に栄養を送って頭をしゃっきりさせる効果も持つ薬です。

・十全大補湯*(じゅうぜんたいほとう)

だるさ・疲れ・食欲不振に加えて、貧血や乾燥肌があるときに使われます。補中益気湯と同じく消化吸収力を高め体に栄養を与えますが、それだけでなく、血を補って貧血などを良くする作用も持ちます。医療現場で、病後の回復や加齢によるフレイル防止にもよく使われる漢方薬です。

 

足のだるさ・重だるさ|むくみや疲れにもアプローチ

冷え・血行を良くする漢方薬を使います。

 

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

下半身の血行を良くする漢方薬です。生理痛・シミ・ニキビにもよく使われます。足の血行を良くして疲労物質を流しだす作用が期待できる薬です。

 

・苓姜朮甘湯*(りょうきょうじゅつかんとう)

下半身の冷えとむくみに良い漢方薬です。生姜で体を温めながら、水分代謝を良くする生薬でむくみを尿にして流しだします。

 

眠気・だるさ|眠り過ぎを和らげ睡眠の質を良くする

目を覚まさせる漢方薬ではなく、夜眠りやすくしたり、夜の睡眠の質を良くしたりして日中の眠気を和らげていく漢方薬を使います。そのため、効き目を感じるにはある程度の期間が必要です。

 

・帰脾湯*(きひとう)

やる気が出ない・ボーっとする・一度座ると立てないなどによく使われる漢方薬です。体力をつけながら、精神を安定させ、質の良い眠りができる体に整えます。

 

・酸棗仁湯(さんそうにんとう)*

いつまでも眠い、または疲れすぎて眠れないなどによく使われる漢方薬です。寝つきをよくし、良い眠りができる体にすることで、少しずつ日中の眠気が出ない体に整えていきます。

 

h3:更年期のだるさ|女性ホルモンバランスの乱れに対応

更年期障害には、のぼせ・多汗・だるさ・おちこみなどさまざまな症状がありますが、それらによく使われる漢方薬を2つ紹介します。

 

・加味逍遥散*(かみしょうようさん)

のぼせやだるさに使われる場合が多いです。自律神経を調整し、血の巡りを良くし、体の余計な熱を取る漢方薬です。不定愁訴や生理前症候群(PMS)にも使われます。

 

・知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

のぼせ・ほてりによく使われる漢方薬です。体の熱をとる生薬・体を潤して冷やす生薬・エイジングケアの生薬などが更年期の体を調節します。

 

h3:夏のだるさ|熱中症や食欲不振にも注目

夏は大量に汗をかきますが、漢方ではこれを体の潤い(体液)が失われると考えるため、体液を補う漢方薬を使います。また、暑いので体の熱をとる漢方薬も役立ちます。夏バテや熱中症予防によく使われる漢方薬を紹介しましょう。

 

・清暑益気湯*(せいしょえっきとう)

補中益気湯を夏バテ向けに改良した漢方薬です。消化吸収をよくして栄養を摂らせ体力をつける部分は同じですが、体の潤いを補う生薬、汗のかきすぎを抑える生薬、体を冷やす生薬などがプラスされています。夏バテによる食欲不振にもおすすめです。

 

・白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)

熱中症予防によく使う漢方薬です。体を冷やす生薬で熱中症を防ぎ、体液を作らせる生薬で汗で失った体液を補います。強く体を冷やす薬なので、暑い時だけに飲むことをおすすめします。

 

風邪によるだるさ|喉の痛み・発熱との関係も

風邪に使う漢方薬は数多くあります。葛根湯が有名ですが、葛根湯はのどの痛みにはよくありません。別の漢方薬が必要です。

 

・葛根湯*(かっこんとう)

寒気がして、汗をかいていないタイプの風邪に使います。体を温め、汗をかかせて寒気を追い払い、熱をひかせる薬です。すでに汗をかいている場合は、桂枝湯(けいしとう)のほうがおすすめです。エフェドリン(興奮剤の一種)が入っているため、少しシャッキリする人もいますが、体力がない人だと動悸がして眠れないなどの副作用が出るので、その場合は次に紹介する参蘇飲がおすすめです。

 

・参蘇飲*(じんそいん)

体を温めて寒気を追い払う漢方薬ですが、葛根湯と異なり体力がない人でも使えます。体力がない人向けの薬なので、体力をつけるための生薬もプラスされています。

 

・銀翹散*(ぎんぎょうさん)

熱があり喉が痛い時の漢方薬です。体を冷やす生薬などで解熱しつつ喉の痛みを鎮めます。葛根湯は温める漢方薬なので、逆に喉の痛み(炎症)を悪化させてしまう恐れがあります。

 

・桔梗湯*(ききょうとう)

喉の痛み・化膿を鎮める漢方薬です。炎症を抑える生薬と、膿を出す生薬が入っています。熱は特にないけれど喉が痛いときにおすすめです。

 

生理前のだるさ|PMSにアプローチする処方とは?

自律神経を整える漢方薬を使います。これらは、血行を良くして体を整える働きも持つ薬です。

 

・加味逍遥散*

不眠・イライラがあり、体が熱いのに冷えることもあるようなPMSに使われます。自律神経を調節し、血の巡りを良くして体を整えます。ストレス症状を和らげる生薬や精神を落ち着ける生薬も含まれています。

 

・女神散*(にょしんさん)

のぼせ・肩こり・頭痛があるPMSに使う漢方薬です。体を温め、自律神経を整え、加味逍遙散より強く血の巡りを良くします。香りの良い生薬を複数含み、それが自律神経を整えて体をリラックスさせます。体力と血を補う生薬両方を含む薬です。

 

「気・血・水」(き・けつ・すい)から見る、疲れやすい体のタイプ

漢方で重要な体の要素に気血水があります。西洋医学とはまた異なる概念ですが、漢方薬選びには欠かせない概念です。

 

気虚(ききょ):エネルギー不足タイプ

気虚の特徴は以下です。

 

・疲れやすい

・気力がない

・風邪を引きやすい

・食欲がない

・汗をかきやすい

・息切れ

・声が小さい

 

気とは

体を温め動かすエネルギーであり、外部から入ってくる邪(じゃ、病原菌やアレルギー物質など)も防ぐ力です。体力および免疫力と考えてもそれほどズレはありません。

 

気虚におすすめの漢方薬

・四君子湯(しくんしとう)

・補中益気湯

 

四君子湯は消化吸収力を高めて体に栄養をつける漢方薬です。補中益気湯は四君子湯をベースに、体力をつける機能と、気を上半身に送って頭を元気にする機能が追加されています。

 

h3:気滞(きたい):軽い運動や良い香りで楽になるタイプ

気の巡りが悪くても不調になります。気が滞る状態で気滞です。自律神経の乱れや交感神経の興奮と考えてもそれほどズレはありません。気滞の特徴は以下です。

 

・いらいら・憂鬱

・ため息が多い

・神経質

・喉がつかえた感じ

・胸の脇が張る

・お腹が張る

・ゲップやおならが多い

・生理前に胸が張る

 

気滞におすすめの漢方薬

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

・女神散(にょしんさん)

・抑肝散(よくかんさん)

 

喉のつかえ・気の塞ぎに良いのが半夏厚朴湯です。女神散は気血の巡りを良くしてイライラ・憂鬱を改善します。抑肝散は神経の興奮を和らげ、イライラ・怒りを和らげる薬です。

 

血虚(けっきょ):血が足りない女性に多い不調

血虚の特徴は以下です。

 

・顔色が蒼白

・唇・爪の色が薄い

・目と皮膚が乾燥している

・めまい・立ちくらみ

・眠れない

・夢が多い

・経血量が少なく、色が薄い

 

血とは

血液の総量と、血液が含む栄養分およびホルモンを指します。単純に鉄欠乏性貧血だけのことを指すのではありません。低血圧や、血液の栄養が足りないがゆえの乾燥肌なども血虚とみなします。

 

血虚におすすめの漢方薬

・四物湯(しもつとう)

・十全大補湯*

・帰脾湯*(きひとう)

 

四物湯は血を補う基本の漢方薬です。十全大補湯は四物湯に体力を補う生薬などを足して作られています。ただ、四物湯も十全大補湯も胃が弱いと胃もたれを起こす場合があるため、胃が弱い場合は帰脾湯がおすすめです。

 

水滞(すいたい):余分な水分がだるさを招く?

体の水分代謝が滞った状態を水滞と呼びます。水滞の特徴は以下です。

 

・皮脂が多い

・体が重くだるい

・甘いもの・脂っこいものが好き

・汗が多い

・口の中が粘る

・胃につかえがある

・白い舌苔がびっしりついている

 

水とは

血以外のすべての体液を指します。汗・粘液・唾液などです。少なすぎれば脱水や熱を招き、多すぎればむくみや胃腸の不調を招きます。

 

水滞におすすめの漢方薬

・五苓散(ごれいさん)

・苓姜朮甘湯*(りょうきょうじゅつかんとう)

・防已黄耆湯*(ぼういおうぎとう)

・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

 

五苓散はむくみ全般におすすめです。苓姜朮甘湯は冷えてむくむ人に使います。防已黄耆湯は色白で汗が多い人向けです。半夏白朮天麻湯はめまいがあってむくむ人に使います。

 

陰虚(いんきょ)

陰虚の特徴は以下です。

 

・頬が赤い

・のぼせ・体の熱さがある

・手足の裏が熱い

・寝汗

・唾液が少ない

・喉が渇く

 

陰とは

体の潤いを指します。水分だけでなく油分も指す概念です。粘膜の乾燥・疲れで出る熱・更年期ののぼせなどは陰虚です。

 

陰虚におすすめの漢方薬

・六味丸(ろくみがん)

・味麦地黄丸(みばくじおうがん)

・麦門冬湯*(ばくもんどうとう)

 

六味丸は体の潤いを補う基本の漢方薬です。六味丸に、さらに潤いを補う生薬を加えたのが味麦地黄丸となります。ただ、どちらも胃にもたれやすいので、胃が弱い人は麦門冬湯がおすすめです。

 

漢方薬の副作用に注意!

漢方薬を複数飲むときは、甘草の量に注意してください。甘草とは、多くの漢方薬に入っている生薬です。適量なら役立ちますが、多すぎると偽アルドステロン症という副作用を引き起こします。

 

偽アルドステロン症の症状は以下です。

 

・むくみ

・高血圧

・低カリウム血症

・高ナトリウム血症

 

ここまで紹介してきた漢方薬の中で、*が付いたものは甘草を含んでいます。甘草を含む漢方薬を複数服用すると、甘草が多くなりすぎる場合があるため、気をつけてください。

 

どこで漢方薬を買うべき?

通販ならハル薬局の品揃えが抜群です。それ以外は、街の漢方薬局がおすすめとなります。クラシエのHPで各地域の漢方薬局が探せるので、参考にしてください。

また、病院で漢方薬をもらうと保険が効きます。体質に合う漢方薬を選んでもらいやすいのは漢方内科です。

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